大学とフィールド
疫学的研究を中心に—〈九州大学医学部公衆衛生学講座〉
倉恒 匡徳
1
Masanori KURATSUNE
1
1九州大学・公衆衛生学
pp.746-747
発行日 1981年9月15日
Published Date 1981/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206392
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私は過去10数年間講座の研究として疫学的研究を最も重要視してきた.疫学以外の研究も行ってきたが,それらは疫学的研究によって明らかにされたことをより深く理解したり,より確実に立証するために行ったものであり,疫学と密接に関連している.このように疫学を重要視したのは,社会の中で起こっているもろもろの健康問題に聴心器をあてて診断し公衆衛生学的対策を講ずるためには,疫学の論理・方法に基礎をおくことが不可欠であると考えたからである.もちろんそのようにしたからといって常に成功するとは限らないが,疫学の方法論が理解されていなければ成功は覚付かないと思う.以下,最近10年くらいの間にわれわれがどのように地域の健康問題にとり組んできたか,その概要を述べてみよう.単に研究のための研究でなく,またデータのためのデータでなく,実際の人間の健康に役立った,あるいは役立つと確信される研究について述べることにする.
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