日本列島
狂犬病予防の現在的意義(?)—京都
山本 繁
1
1京都府井手保健所
pp.38
発行日 1980年1月15日
Published Date 1980/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206007
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先日,小学生に保健所のイメージを質問すると,「犬の注射をしてもらうところ」,「のら犬をつかまえるところ」が返ってきた.保健所活動の不備および不徹底を反省するとともに,保健所における狂犬病予防業務の,暗い,前近代的一面のみが住民に受け止められている実態を見る思いがした.そのうえ,動物愛護の精神を強調するなかで,「保健所に犬を引き渡すことは,"死"を意味する」,「犬やネコが保健所で殺されている」事実を直視して,犬などを保健所に引き渡すな,と住民に呼びかけている新聞記事(地域の,小新聞ではあるが)を読むに至って,改めて,狂犬病予防対策,犬害対策は曲がり角にあると認識した次第である.
そんな折,京都府では,ペット犬の急増に加えて,登録手数料.狂犬病予防接種料のアップが直接的背景になって,登録犬,狂犬病予防接種済犬の減少が顕著になりつつあることを憂えて,狂犬病予防法第4条第1項あるいは第5条第1項の違反者には警告書を発行し,場合によつては警察署への告発を行なってもよいという指示が出されたので,保健所長としては大変驚いているところである.
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