特集 喫煙問題
喫煙と健康—これからの重点研究課題
平山 雄
pp.781
発行日 1979年11月15日
Published Date 1979/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205962
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1.喫煙と心臓病 この分野では,喫煙のHDL(high-density lipoprotein:高比重リポ蛋白)に対する影響の研究が重要である.
HDLはコレステロールの多いLDLが動脈壁の細胞(内皮細胞,平滑筋細胞および線維芽細胞)の中に入るのを妨げるとともに,コレステロールをこれらの細胞から除去することを促進して冠動脈疾患に対する予防効果をもたらすとされているが,そのHDLが喫煙者では低値を示すのである(Poznerら,Millerら,など).1978年の国際心臓学会でもこのことが論ぜられた.各種疾患におけるHDLCは,虚血性心疾患において著しく低値を示し,脳血管障害,糖尿病,肝疾患などでも低値を示すものが多い.肥満や喫煙はHDLCを減らし,アルコールはHDLCをふやす(五島)のである.
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