特集 学校保健の実際
学校保健と性教育
田能村 祐麟
1
1東京都新宿区教育委員会・指導室
pp.253-256
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205817
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■はじめに
およそ学校が行なう教育活動は,文部省の示す教育課程編成の基準に則り,学習指導要領に準拠して実施されなければならないが,性教育に関してはなにも示されてはいない.しかも,これまでほとんどの教師が性教育について専門的な教養を身につけておらず,性について多様な意識や価値観を持っているために,学校が性教育を行なう必要があると強調されながらも,多くの学校がこのことに対して消極的である.最近は,性教育を研究し,実践している教師が増加しているとはいうものの,学校として組織的・計画的に性教育を行なっている学校はきわめて少ない.また,今日いわれている性教育の必要性や性教育の実践の中には,性教育を単に人間の性の生理学的・解剖学的な知識の伝達や性非行,性被害を防止するための教育としてとらえているにすぎない場合も少なくない.
このような現状の中では,まず学校が行なう教育活動としての性教育はどうあるべきかを明確にしたうえで,学校保健がそれにどうかかわればよいかを考えてみる必要があろう.
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