特集 学校保健の実際
公害教育
大森 暢久
1,2
1文京区立第2中学校
2東京都医師会学校医会
pp.247-252
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205815
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■はじめに
人類は長い歴史を通じて高度な文明社会を築き上げた.そして,生産流通の技術革命の結果,さまざまの汚染物質を排出し,人類自身を傷つけてきた.東京都公害防止条例の前文に「文明は自然を破壊し,大気の汚染,水質の汚濁,騒音,振動,地盤の沈下,悪臭などによる公害をもたらした.すなわち,公害は人間がつくり出した産業と都市にその発生原因が内在し,明らかに社会的災害である」としている.
1972年6月,ストックホルムにおける「国連環境会議」のスローガン"かけがえのない地球(Only One Earth)"を守るために,人間環境宣言や行動計画として107の勧告が採択された.人間環境宣言19において「環境問題についての若い世代と成人に対する教育は個人,企業および地域社会が環境を保護向上するよう,その考え方を啓発し,責任ある行動をとるための基盤を拡げるのに必須のものである」として,公害教育の必要性をうたっている.公害により,何ものにも代えがたいわれわれの健康がむしばまれている現実を考えると,学校教育の中に公害教育や自然保護教育を導入し,これを推進し,児童・生徒に公害についての正しい認識と理解を得させ,公害をなくしていこうとする生活態度を身につけさせる必要があると思う.
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