特集 地域精神衛生活動
地域精神衛生活動と保健婦—私自身の体験を通して
東 英代
1
1和歌山県湯浅保健所
pp.198-202
発行日 1979年3月15日
Published Date 1979/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205801
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■はじめに
昭和40年に精神衛生法および保健所法の一部改正がなされてから二十余年になるが,和歌山県では保健所が地域精神衛生活動の中心的役割を果たすところまで,残念ながら至ってないのが現状である.和歌山県は僻地を多く持つことから,昭和32年以来,保健婦の駐在制をとっている.筆者は34年から,湯浅保健所管内の清水町という山間僻地に駐在しており,精神病の多いことから昭和44年からささやかながら精神衛生活動に力を入れてきている.
清水町は高茶屋病院の桑原治雄氏と七山自病院の横山博氏を嘱託医として,月1回の精神衛生相談と訪問活動を行なっており,町内で開業の医師の理解と協力を得ている.また,保健所管内の県立五稜病院(精神科)はもちろん,学校関係機関との連携が行なわれている.保健所では,月1回の酒害相談を行なうにとどまっている.筆者は駐在地において母子や結核と同様,精神とのかかわりをもっているにすぎないが,地域の中で患者といわれる人達とのつきあいに,何も特定の技法があるわけではなく,"患者と対等の人格"としてのつきあいがあるだけである.
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