特集 医学教育の中のコミュニティ・ヘルス
発言あり
教育保健所
か
,
た
,
れ
,
わ
,
よ
pp.223-225
発行日 1976年4月15日
Published Date 1976/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205158
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基礎工事のやりなおし
臨床から離れた内科や外科や産婦人科に,価値も魅力もないのと同様に,フィールドを持たない公衆衛生はあり得ない,一方また,保健所における活動が,公衆衛生学から隔絶したものであったら,保健所というものの存在価値はない.すべての保健所に望めないにしても,県に一つや二つは,人と施設を十分に揃えた,充実した保健所が絶対に必要である.その保健所を教育保健所と呼んでも訓練保健所と言ってもよい.そこは,新任者などの研修の場となると同時に,大学の公衆衛生の臨地訓練の場ともなるべきである.
保健所へ出て間もなくの頃から,こんなことを言ったり書いたりしてきた.必ず実現するんだ,という信念を持ちながら.ところが年がたつにつれて,その影はうすくなる一方,今やマボロシ化してしまった.教育保健所どころではない,保健所自身の存在価値まで問われるようになってしまった.時代の移り変わり(住民の保健要求)を先駆的にとらえていくべき保健所が,大きく水をあけられてアプアプしているのが実態である.この開きは,ちっとやそっとの努力やてこ入れで縮まるものではない.思い切って土台からやり直す以外にない.過去の栄光も汚れもすっかり洗い落として,現在の,そしてこれからの地域保健の中で,きちっとした役割を持って,すっきりした体質に生まれ変わるべきである.
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