特集 国際保健
保健計画Health Planningの国際的動向—WHOのdocumentsを中心に
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院
pp.414-419
発行日 1972年7月15日
Published Date 1972/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204499
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現代は情報化と計画の時代であるといわれる.これは戦後の産業高度化と経済開発の要請を契機として急激に発展したものであるが,公衆衛生・医療の領域についても決して例外ではありえない.その歴史が示しているように,公衆衛生・医療はそれぞれの時代の切実なのっぴきならぬ社会の要求に応えて発展してきた.しかしとくに第2次大戦後の人口老齢化,疾病・死亡パターンの変化,医療の社会化,医療の技術革新,病院医療の高度化,生活水準の向上,市民意識の昂揚などの諸要因は,先進諸国において例外なく保健医療の需要demandの急激な増大を招来した.またその半面,保健・医療の施設,ヘルスマンパワー,それらの財源など保健・医療の諸資源とその拡充には自づからの限界があるため,その需要と供給の間のギャップは増大し,各国において社会問題化していることは周知のとおりである.保健・医療分野への計画の導入は,実は高い理想を志向して積極的に行なわれたというよりは,このような社会問題の深刻化のなかから起こったものといえる.しかしこれを技術的に促進した強力な要因は,各種の新しい計画技法の開発とくにコンピューターの実用化であったこともまた否定できない.以下に最近における保健計画の国際的動向について,主としてWHOのdocumentsを中心に概観することとしたい.
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