資料
ひのえうまと経口避妊薬—在米日系人の出生率の推移
角 加苗
1
Kanae Kaku
1
1Biostatistician-epiderniolosist, Research Corporation of University of Hawaii
pp.714-717
発行日 1973年10月15日
Published Date 1973/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204745
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1966年における日本の出生数は,前年度の182万から46万減少し,それはひのえうまの迷信の国民生活に及ぼす影響を反映したものとされている.
ひのえうまはいうまでもなく60年に1回めぐって来るわけであるが,この年の出生率減少は,女児に,ひのえうま生れという不幸な運命を負わせまいとする日本の母親らしい念願の具体的な現われと見られる.著者はこの点に興味をおぼえ,さきに,日本に於ける1966年の出生減少に伴う性比の変動を調べた.その結果"ひのえうまの前年および翌年は性比が例年(0.5143)に比べ顕著に低く(両年とも0.5128),当年はきわめて高く,(0.5183),ことに前年の12月,(0.5013),翌年の1月(0.4971),当年の1月(0.5283)12月(0.5390)に変動が集中している"ことを明らかにし,その理由を"女児の1966年出生をまぎらわすための届出の作為によるもの"と推定した(1972),続いて,今回は,アメリカ合衆国ハワイ,カリフォルニア両州在住の日系人を対象に1961年から1968年までの出生率の変化を追求し,その結果在米日本人についても,ひのえうまの年にやはり出生率が減少していることを明らかにしたのでここに報告する.
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