教室めぐり・36 和歌山県立医大衛生学公衆衛生学教室
県の地域医療のリーダー
白川 充
pp.707
発行日 1973年10月15日
Published Date 1973/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204742
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昭和20年2月8日和歌山県立医専,同23年2月20日医科大学昇格,同27年2月20日新制大学として同医科大学が発足.当初衛生学教授として小松富三男教授が赴任され,2代目教授に助教授の有薗初男氏が昇格した.本学の創立時,建学の目的が県内に必要な臨床医を養成するという特殊な事情のために,県側の干渉が強く,県の経済的貧困と学閥の偏りもあって,大学造りは遅々として進まなかったようで,医科大学としての内容の充実は非常におくれているように思われる.設立者の小野真次知事は,「健康和歌山」をスローガンに掲げ,従来は老年病対策に力を入れていたが,近年は県内における産業場の開発・拡張などに伴い,大気汚染や海洋汚染などの公害の多発もみられるようになり,公衆衛生活動が特に要請されるようになった.しかし,本県は本州の最南端にあって,平地が3割,山間部7割という地勢で,都市化の波は農山村の過疎化を誘い,農民の健康管理が大きな問題ともなっている.
昭和35年7月に,本学に公衆衛生学講座が新設されることになり,同年11月本学で初めて全国公募による教授銓考が行なわれ,筆者が初代公衆衛生学教授に決定し,赴任した.以来,以下に述べるような範囲に亘って,教育,研究,あるいは地域活動に,全力を傾けて今日に至っている.
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