論稿
いわゆる難病の概念とその対策の問題点
宇尾野 公義
1,2
1東京都立府中病院
2東京大学医学部(神経内科)
pp.186-192
発行日 1973年3月15日
Published Date 1973/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204638
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いわゆる難病なる名称は医療に従事する側よりもむしろ患者友の会などが医療福祉を願い,病因の究明や医療費の公費負担などを訴えて国や地方自治体などに呼びかける場合に用いられていたが,それがいつの間にか一般的名称となってしまった.つまり①原因が不明である,②適切な治療法がなく,死亡率が高い,③長期慢性経過をとり,後遺症を残す,④療養に高額の費用がかかり,患者や家族の物心両面の負担は大きい,などの諸条件を有する場合に一応難病としてとり扱われるように思う.
現在医学は第1健康増進医学,第2予防医学,第3治療医学,第4リハビリテーション医学と漸次発展してきたが,難病対策は福祉行政とからんで正に第5の医学として頓に重要性を増しつつある.
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