特集 サーベイランス
腸チフス・パラチフスの中央管理システム—1967年の患者発生状況とファージ型別分布の分析から
腸チフス中央調査委員会
pp.438-445
発行日 1969年8月15日
Published Date 1969/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203924
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
*昭和40年厚生省に伝染病予防調査会が設立された時,まず最初に,腸チフス管理に関する問題が討議された.近年腸チフス患者の年間発生数は,はなはだ減少したがなお根絶するにいたらず,特に公衆衛生の盲点をつくかのように集団発生する。一方では,チフス菌のファージ型別法が著しく進歩し,チフス患者の感染源の追跡に大きな効果を発揮している.近年の患者の減少にファージ型別法を加味するならば,腸チフス患者をその感染源をよくマークすることによって,十分管理することができ,したがって少なくとも集団発生のようなことは防止できるのではないか,そういう考えから伝染病予防調査会では小委員会を作って,腸チフスの管理を確実にする方途を研究し,一定の様式を確立し,システムを作る案を立てて献言した.
次に伝染病予防調査会では,腸チフスのワクチン問題に関する小委員会を作り,腸チフスワクチンを予防接種法に従って接種する場合の基本問題を討議し,その結果,現時点では腸チフスワクチンの注射は,その効果の不確実性をも考慮して,もし腸チフスの管理が全国的な視野で十分徹底して行なわれるならば必要なかろうという結論を出した.厚生省では,以上の伝染病予防調査会の答申ならびに献言に基づき,腸チフスワクチンの定期予防接種をはずすことに踏み切るとともに,腸チフス中央調査委員会を設置して伝染病予防調査会の立案に基づき,腸チフス発生を管理する体制を作った.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.