特集 地区組織活動の再検討
講座
公衆衛生の臨床講義
小林 彰
1
1前東京都衛生局
pp.215-218
発行日 1966年4月15日
Published Date 1966/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203228
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医学生に好まれない公衆衛生分野
厚生省でも各都道府県の衛生当局でも,非常に困っていることの一つに公衆衛生関係医師の不足ということがある。私も長い在職中,年々いつも悩まされた問題であった。第一このみちは医学生たちからも好まれない。保健所習練がインターンの場として組み入れられていながら,毎年の報告では所によって重多少の高低はあるものの,学生諸君に歓迎される場という結論には程遠い。
医師たちが公衆衛生の行政分野へ進出を好まないのは種々の理由がある。第一には身分,更に収入の問題がある。よく事務官僚は別段医師の待遇をひくくはしていないという。表面上はそうであろう。しかし,現在の制度のままではこの方面で医師の占め得る地位は限られた狭いものであり,医師になるまでに費した費用と時間とを無視しているのではあるまいか。もう一つは研究に対する技術者と事務官との考えの違いもある。この問題にはまだまだ申し述べたいこともあるが今日の主題と離れるからこの程度にとどめる。
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