特集 衛生監視制度
研究
学校給食による事故例の疫学的考察
長崎 護
1
,
伊藤 多美夫
1
,
畑野 逸与
1
,
池満 勝巳
1
,
下枝 謙
1
,
木村 慧明
1
,
小川 三之助
2
,
藤井 輝彦
3
,
高野 正義
4
1東京都衛生局公衆衛生部食品衛生課
2東京都下谷保健所
3東京都豊島長崎保健所
4東京都麹町保健所
pp.150-157
発行日 1966年3月15日
Published Date 1966/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203215
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緒言
学校給食に起因する事故は,学校給食が開始されてから今日まで,規模に大小の差はあれ,各地で発生しており10,公衆衛生上大きな問題を残している。しかも,それら事故の大部分は,病因物質が判明しておらず,予防上大きな障害となっていることも否定できない。東京都においても,昭和25年から30年にかけ,ハム,ソーセージを原因とする事故が続発したが,昭和27年11月,上北沢小学校で患者数621名におよぶ事故が発生した際に,疫学,臨床,微生物学などの諸研究がすすめられ,都衛生局から,その結果が,給食熱(上北沢熱)2)として公にされている。しかし,その後も,ほとんど毎年病因不明の事故が発生している。たまたま,昭和38年5月から6月にかけ,都内,6小・中学校に相ついで事故が発生し,患者2,166名に達した。しかし,これら6例も,病因物質の決定はできなかった。また各校間の因果関係も指摘できなかった。
そこで,これらの事故例を解析し,今後の事故防止の参考としたい。
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