特集 綜合保健活動の推進
主題参加
綜合保健と公衆衛生活動の方向
あくまで地域住民と直結した活動を
加藤 邦夫
1,2
1沢内村厚生部
2沢内病院
pp.23-24
発行日 1965年1月15日
Published Date 1965/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202971
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近年人間の平均寿命は70歳前後に達している。しかし卵が受精により発生する生命力は理想的に養護された場合,現に112歳の生存者により実証されているようにさらにその寿命の延長は可能であり自然死に近づきうる。悠久無限の時間に比し,あまりにも瞬間的人生において,足腰が立ち頭がきいて,自然死の間際まで幸福を味到したい願望は人間社会で最も尊厳なものである。かかる幸福の追求には健康と賢明さが必然的に要求される。健康は終局的には自分自身で守るべきものである。
医学ならびにそれに隣接する自然科学,社会科学が開拓した健康養護の知識技術を可能な限り学習し,それを実現できる経済開発に自主的に挺身すべきである。しかし個人の有限の能力財力の下にはおのずからその限界が現存し,ここに社会連帯性の責任において健康は養護されなければならない。公衆衛生活動は医学を根底として集団の人間の健康養護を目的とする限り,必然的に地域社会と直結しなければならない。また公衆衛生活動は営利行為としては成立しがたい内容をもつために,共同出資による活動の比重は極めて大きく,一方その地域住民の自治権のシンボルである自治体は主権者自身の幸の開発のために,それに必要なあらゆる条件の開発をする責任を但っていることから衛生行政と直結したがる運命をもっている。
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