特集 母子衛生
最近の母子衛生に希望する
杉原 正造
1
1川崎市中央保健所
pp.509
発行日 1962年9月15日
Published Date 1962/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202562
- 有料閲覧
- 文献概要
数日前,中央児童福祉審議会は,去る3月下旬灘尾前厚相から諮問された「児章の健全育成および能力開発による資質向上対策」についての答中案を検討し,新厚相に答申している。それによると今後国のとるべき対策として,次の8点をあげている。1.家庭対策,2,妊産婦,乳幼児の一貫した保健サービス制度の確立,3.事故防止対策,4.家庭で保育できない児童の保育強化,5.脳性マヒ児等新しい要保護児童対策,6.地域活動の強化,7.社会環境の整備,8.保健福祉専問職員の養成と児童問題研究の推進。
これらの対策はどれをみてもすぐにも取り上げてほしいものばかりであり,児童と母親にもたらす幸せはどれほど大きいか分らない。しかし,今日までの「母子衛生」をみると,次々と流れてくる新しい事業にたいして予算面の裏付けや実施に至るまでの準備,実施体の受入れ態勢等についていろいろな角度から充分研究や検討がされないままで第一線の保健所や市町村に流され否応なしに走り出しているものが多いように思う。本年度から実施される助産婦による妊娠中毒症患者の家庭訪問指導にしても,現在の状態では妊娠中毒症であるという情報を把握する方法がむずかしいし,開業助産婦と主治医である産婦人科医師との間の調整に保健所長は皆労することと思う。現に新生児訪問でも,これで苦しんでいる所長が如何に多いことか?
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.