特集 成人病対策
高血圧・心臓病患者の指導方針
秋山 房雄
1
1大蔵省印刷局東京病院
pp.504-509
発行日 1961年9月15日
Published Date 1961/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202438
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はじめに
ここで患者の指導というのは,病院や診療所で行なわれている薬物による治療についてはつけたりの程度にして,重点をそれ以外の保健指導において考えてみたいと思う。
一般に,成人病といわれておる疾患にあつては,一度出来上つてしまえばそれをもとに戻すことが不可能であり,せいぜいその進行度をおそくするとか,自覚症状を軽減せしむることが当面の問題となり,それによつて合併症の発生を防止出来ればその目的は達し得たといえよう。ところが現在のところ,その指導方針といわれておるものはおおむね消極的なもので,その根拠となるものは,従来の医学的経験から,悪化や合併症の発生に重大なキッカケになると考えられる諸条件を軽減あるいは排除することにあるが,しかしここに考えられる諸条件なるものが果して重大な意味を有するかどうかについての根本的な資料や批判が現在までのところまだまだ不充分であるので,以下述べる指導方針についても,そこに大きな割引きをして考えねばならぬ点のあることを前以つて述べておかねばならない。
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