綜説
英国における社会医学(その2)—undergraduateの社会医学教育について
黒子 武道
1
1東京大学衛生学教室
pp.371-376
発行日 1961年7月15日
Published Date 1961/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202418
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筆者はさきに社会医学に関する2,3の論文中で,社会医学の概念,その起源と発展について考察と批判を行つて来たが,これらの論文にも詳述した如く,社会医学は現在,多義に解されており,見解の一致を見るに至らないが,社会医学が医学と社会の関連についての新しい観点と発展を示すものであり,医学とその実践の広汎な改革を達成する医学の新しい原理と諸活動を含むものと理解されることを指摘した。いずれにしても,社会医学は既に治療医学とその形態による医学教育が,社会の医療に対する要請に耐えないことを認めてあり,医学教育の改革こそ社会医学実現への先決要件と考えられるのである。事実,今次大戦後に開催されたこの種の国際会議においても,又諸外国に於ける国内会議においても,社会医学が医学教育に関する緊急な課題として,特に医学校における学科課程の問題として論議されたのであつて,医学教育の体系の中で社会医学の占める位置と機能の検討は極めて重要な研究課題と考えられる。
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