文献
ソ連における言語障害矯正,他
芦沢
pp.489
発行日 1960年9月15日
Published Date 1960/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202312
- 有料閲覧
- 文献概要
モスクワの身体障害研究所は全ソ連邦の障害児サービスの公的なセンターである。著者らは最近ここを訪れ,特に言語矯正のスタッフと交見する機会をもつた。ソ連では障害の種類と程度により社会保障省(重症廃疾児の施設内保護),保健省(医療の対象となる障害児),教育省(能力に応じた教育と職業補導)の三省が行政責任を分担し,場合に応じ相互に協力してサービスを行なつている。言語障害児は発見当初は医療の対象となるが,実際の言語矯正訓練は教育省の仕事になつている。そのための養成所を出た専門の教師は一般の教師より2割5分増しの給与を受け,もちろん一般教師にある住宅優先割当も与えられ,尊敬される社会的地位とあいまつてこの職をえらぶことを誇りとすることに与つて力があるのであるアメリカではこの種の教師の不足に悩んでいるが,ソ連では必要なだけの教師は養成しているということである。
矯正の組織は,アメリカの場合とよくにていて,ロゴペドといわれる学校付きの矯正師がいて医師の指導の下に週2,3回生徒をみまわり,手に余る障害はクリニックに紹介する。各校には医師,歯科医,看護婦,ソーシャルワーカーがいる。児童の初回の検査では,言語の分析,聴力の判定,知能が問題になるときは専門家によるテストがなされ,興味深いことには字を書くテストもなされる。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.