特集 インフルエンザ
綜説
疫学の立場からみたインフルエンザ対策
平山 雄
1
1国立公衆衛生院疫学部
pp.42-48
発行日 1957年12月15日
Published Date 1957/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201910
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.緒言
インフルエンザ対策は各所で活溌に論議されているが,最も賢明な対策のあり方について,学者の意見は必ずしも一致していない。
凡そ,伝染病の予防対策を考えるに当つてある者は過去の防疫記録或いは経験から,ある者は現実の社会情勢から,ある者は純理論的に伝染機序から論議している。正しくはそれらすべてを考慮して考究すべきである。既往の大流行に際して取られた予防手段が殆んど完全な失敗に終つたことから,根底から悲観論を唱える学者も少くない。疫学のいくつかの教科書を開いてみても,その大部分は「重症化予防」に重点をおくべしとしており,流行の発生及び蔓延の阻止については,きわめて懐疑的である。例えばA.D.Langmuir1)の記述をMaxcyのPreventive medicin(Hygiene)から拾つてみよう。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.