特集 食中毒
注目すべき食中毒例
砒酸鉛中毒
pp.48
発行日 1954年9月15日
Published Date 1954/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201459
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昭和26年1月29日鳥取県八頭郡船岡村船岡中学校に於て,家事実習の時間につくられた菓子が原因となりその摂食者44名中41名が何れも摂食後30分乃至1時間ではげしい嘔吐を催すと云う中毒事件があつた。
嘔吐以外の症状としては,大半が頭痛を訴え,倦怠感のあった者が2名あったが,下痢,発熱はみられなかつた。(但し微熱のあつた者1名)。幸にして死者は1名もなく翌30日中に殆んど全員が回復したが,上記の潜伏時間及び症状よりみて,原因物質は化学物質であろうとの推定のもとに原因食品の分析試験が行われた結果,砒素(0.08%)及び鉛が検出された他刺戟性物質でピリジン核を有する植物性塩基が検出された。
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