特集 乳幼兒衞生の焦点(I)
未熟兒の諸問題—身体状況からみたその予後について
辻 達彦
1
1国立公衆衞生院
pp.15-20
発行日 1954年3月15日
Published Date 1954/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201352
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今後の公衆衞生に課せられた問題として,未熟児の重要性が漸く認識されつつあるのは,乳児死亡殊に新生児死亡に占める未熟児の割合からみても当然の成行である。けれども未熟ということが果してどの程度のハンデキヤツプであるかということは,必ずしも一致した見解を得るに到つていない現状である。「未熟児が学童としては発達の鈍い子供となり,さらに精神病的,或は神経病質的な患者になりがちである」と説くCapper(1928)1)の意見や,「未熟児を救うことに熱意をもち得ない。生残るものが肉体又は精神的異常者(handicapped)になる惧れが多分にある」と漏らしたSir Robert Hutchison(Expresident of Royal Society of Medicine, President of Royal College of Physician, WHO'S WHO, 1939)の言2)も味うべきものがあることを否定し得ない。果然近年報ぜられているRetrolental fibroplasia3)による失明も同様な疑念を投げかけるものであるが,これは未熟児そのものによるよりは,採られた治療方法と関係があるとする若干の根拠4)があるので一部未熟児の必然的運命であるか否かは斯界の進歩に期待する他はない。
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