研究報告
P-nitrophenyl phosphateを使用する牛乳phosphataseの定量及び臨地試驗法
山下 哲生
1
,
笠井 金盛
2
1國立公衆衞生院榮養生化學部
2國立公衆衞生院衞生獸醫學部
pp.181-183
発行日 1951年10月15日
Published Date 1951/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200939
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牛乳及び乳製品が確實に低温殺菌されたかどうかを判定することは,牛乳衞生上しばしば必要になる。この目的に種々の酵素の熱不活性を利用する試案が出されたが現在最も確實且簡便な判定法としてフオスフアターゼ酵素の有無をしらべるフオスフアターゼ試驗が推奬され,アメリカでは廣く一般に行われている。實際フオスフアターゼは61.7℃30分の加熱で大部分破壊され,62.8℃30分で完全に不活性化すると言われ,加熱不活性の條件が低温殺菌の條件と殆んど同一である點,本目的に對する應用意義が大きいのである。我が國では試藥の關係で實施されてなかつたが,厚生省令(昭和25年10月16日厚生省令第58號公布)に新しい市乳,特別牛乳,殺菌山羊乳の規格の一つに,フオスフアターゼ陰性と記載され,當然實施すべき必要にせまられることとなつた。
牛乳フオスフアターゼ試驗の基質即ち燐酸エステル中フエニール燐酸エステルを使用したScharerの定量法臨地簡便法はアメリカニューヨーク州の標準法であり既に日本にも招介されている1)。しかし試藥の種類が多くその調製が可成り手數を要し,又試驗室で普通使用するフエノールの微量混入で判定を誤る危險がある等改良を要する點がある。
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