研究報告
ガーゼマスクの飛沫傳染防止に對する効果について
豊川 行平
1
,
榊原 士郞
1
1東京大學醫學部衞生學教室
pp.34-35
発行日 1951年7月15日
Published Date 1951/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200879
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ガーゼマスクは呼吸器顎傳染病患者が使用して他への飛沫傳染を防止する場合と,健康者が使用して他からの傳染を防止する場合に用いられるものである。ところが産業衞生上用いられている防塵マスクの成績から,健康者が使用する場合のガーゼマスクの効果に疑問がもたれ現在では患者に對してのみその使用を勤める傾向にある。つまり,防塵用にガーゼマスクを使用する場合,塵肺等の原因たるべき微細な塵埃は殆ど阻止されない。又ある程度これを阻止しようとしてガーゼの厚さを増すと,呼吸抵抗が増し,そのため空氣はガーゼ層を通過せずガーゼと顔面との間隙より侵入し,マスクの用をなさないからである。しかし,傳染病豫防という面から考えると,防塵用に用いた場合と大變意味がちがう筈である。周知の如く感染の成立には侵入した菌量が大きな因子になつているのである。ところが,患者の口腔からとび出す飛沫はそれが大きければ大きい程,それに含まれる菌量は多くなる。從つて大きな飛沫を阻止することが傳染病豫防には重要なのである。かかる見地から,われわれはガーゼマスクの効果を實驗的に檢討してみたのである。
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