研究報告
學童の體位と地域差
柳澤 利喜雄
1
,
矢島 ふき
1
1前橋醫科大學公衆衞生學教室
pp.28-31
発行日 1951年7月15日
Published Date 1951/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200877
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.緒言
かねて我々は群馬縣民170萬人を對象としてその體位向上の策を考えていた。曾て本縣の體位は壮丁檢査の結果全國でも最劣位にありと言われている。試みに表1に示す如く群馬縣壮丁は全國平均よりも常に身長,體重が劣つている事を知る。1932年(昭和7年)の壮丁優良體位め者は全國44位,1938年は43位,昭和9年も同樣43位を占めていた。壮丁檢査の標準が果して健康の象徴と見なし得るか否かは別として,かゝる目安のもとに本縣民體位の現伏を把握し,その對策を講ずることは妥當な事と考える。
縣民體位の現状を知る爲には,徴兵檢査や國民體力檢査の實施なき今日,我々は學校身體檢査成績をもつてするを至便と考える。そこで學校身體檢査諸項目中先ず身長に就て考察を試みた。身長は從來體位判定上の意義少きものと考えられていた。然しながら我々がこゝに問題にしている發育期學徒の體位の動向を觀察するに當つては至極意義深きものである。例えば今時戰爭中に於ける我國學徒身長の發育は戰事生活の激化に比例して,極端なる身長発育阻血現象を來している。特にかゝる傾向が都市学徒に顯著だつ事は,如何に發育期時代の身長を指標として體位全體の動向を判定する事の妥當なるかを實證しているものと考えてよいと思う。しかも更にかかる事實を裏付けるものとして戰後一般榮養伏況の恢復とともに,いち早く實施をみたる學校給食の開始による身長發育の旧状復歸がこれな雄辯に物語つている。
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.