論述
公衆衞生關係の研究課題の動靜
前田 陽吉
1
1文部省自然科學研究課
pp.234-238
発行日 1949年2月25日
Published Date 1949/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200429
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公衆衞生の部門では目下どんな研究題目が問題になつているだろうか。このことは勿論公衆衞生に關係する人々には大きな關心のある問題であり,學會,雑誌等でも絶えす話題になることであるので,大體は知られている所であるが,研究に直接從事する人々は專門を深く進んでゆくので,案外他のことに氣が付かないことが往々ある樣であり,又國の研究費がどんなテーマに對して支給されているかを知つて貰うことも大いに意味があることと思われるので,此處に文部省科學試験研究費にあらわれた研究題目を例にひいて,科學試験研究費の紹介旁々説明してみたいと思う。
文部省の豫算に計上されている科學試験研究費は,産業復興,生産の増強,國民生活の安定等現下急速に解決を要望されている諸問題の解決を計る爲に,研究補助金として官民を問わず,實行力のある研究者に交付されるものである。言葉を換えれば,所謂現在及びごく近い將來のわが國に必要缺くべからざる應用研究を對象としたものであり,この意味から科學試験研究費にあらわれた課題を見れば,大體國が必要としている研究の傾向(純基礎的研究以外の)が察知出來るのではないかと思われる。純基礎的な研究は別に科學研究費(昭和23年度豫算1億4,400萬圓)というもので扱われることになつている。
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