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次号予告・あとがき
阿彦 忠之
pp.696
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102825
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保健所長をしていた頃,管内市町村の「健康まつり」の式典では,多回数献血者の表彰が恒例でした.献血100回(金色有功章)の受賞者が紹介されると,驚きと賞賛の気持ちの混じったどよめきが会場にこだましたことを思い出します.来賓祝辞の中で「人間の血液量は体重の約12分の1なので,体重60kgの人では約5リットル.400ml献血を100回すると合計40リットルになりますので,受賞者の方はご自分の血液量の8倍に相当する量を献血していただいた……」という話をすると,再度のどよめきと拍手が起きたものでした.
このように献血は,公衆衛生従事者はもちろん住民にも身近な事業ですが,血液事業全体にわたる知識レベルや関心が高いか,と聞かれると,私自身の知識をみても疑問を感じるところです.血液内科や輸血療法を専門とする医療関係者以外は,最新の血液事業の課題に関する理解が不十分のように思われます.たとえば,血液製剤の適正使用に関する課題の1つとして,同製剤の廃棄率の病院間格差が指摘されています.廃棄率の高い病院では,医師などが適切な輸血療法に関する最新の知識を学んでいないために必要以上に血液製剤を発注し,在庫のまま有効期限切れが多くなったと推定される事例が目立ちます.
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