連載 フィールドに出よう!・2
沈黙は罪なり―ガーナでの寄生虫対策
野中 大輔
1
1琉球大学大学院医学研究科寄生虫学・国際保健学講座
pp.159-162
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102347
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沈黙は罪?
「あなたはこの会議に何も貢献していない!」と,ガーナ人のプロジェクトリーダーから叱責されたのは,私がガーナに着いてから約1週間が過ぎた日のことであった.その日は,毎月1回開かれるプロジェクトの定例会議に出席していた.プロジェクトメンバーが集まり,活動の進捗や計画を発表する会議である.なぜ叱責されたのか.会議中,私は全く発言しなかったからである.英語で議論されている内容が理解できなかった訳ではない.他の出席者が私と同じ意見を述べていたし,話し合われていた議題は自分が関わっていない活動に関することであったから,私は沈黙していたのである.しかし,叱責されて実感した.ここでは会議は,参加者全員で作っていくものであるということ,自分の存在を積極的にアピールする必要があるということを.
以降,たとえ相手が分かり切っているであろうことでも,積極的に意見するように努めた.4か月後,ガーナを離れる直前には,相手が話していても割り込み,意見を言えるぐらいまで図々しくなっていた.
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