特集 検証「パンデミックインフルエンザ2009」
パンデミック対策における不確定要素と政策決定
西村 秀一
1
1国立病院機構仙台医療センター臨床研究部病因研究室
pp.676-680
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101871
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未来は不確定要素だらけである.現実社会において,とくに行政では,それを前提に不確定要素の占める割合を小さくする努力がなされる.一方,不確定要素だらけの課題であることを知った上で,敢えて何らかの対策を実行せざるを得ない事態に追い込まれることは珍しくない.新型インフルエンザ関連の事例の中に,その典型例を見ることができる.
筆者は,米国で1976年に起こった豚インフルエンザ騒動とそれに対する論評,『The Epidemic That Never Was』(ハーバード大の2人の学者,ニュースタットとファインバーグによる名著)の邦訳を昨年上梓した1).そうした不確定要素をめぐる科学者と行政,政治家のかかわりが書かれているので,ぜひお読みいただきたい.本稿では,これも参考に,今回の2009年豚インフルエンザの出来事を考えてみる.
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