連載 人を癒す自然との絆・12
緑の力を生かした人と地域再生の試み
大塚 敦子
pp.592-593
発行日 2010年7月15日
Published Date 2010/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101848
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この原稿を書いている4月は,冬の間静まり返っていた庭や畑が目覚め,命の息吹で満たされる季節.今回は,緑の力を生かした人と地域再生の試み「ガーデン・プロジェクト」について書きたい(前号の本欄「薬物からの解放のメタファー」でも簡単に触れている).
サンフランシスコ郡刑務所の中にオフィスと畑を持つガーデン・プロジェクトは,1984年に刑務所の園芸プログラムとして始まり,1992年には独立したNPOになった.創始者は刑務所のカウンセラーだったキャサリン・スニードという女性.自分がカウンセリングをとおして関わった人たちの多くが,またすぐに再犯で戻ってくるのを見るうち,再犯防止にはその人の生き方を変えるための包括的なサポートシステムが必要であることを痛感するようになった.そこで,薬物依存の受刑者たちとともに刑務所内に畑をつくって,オーガニックの野菜づくりを始めたのである.オーガニック農業が薬物依存の人たちにとって解放のメタファーとなることは,前号で書いたとおりだ.
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