特集 感染症再見
国内発生している致死率の高い感染症
②ビブリオ・バルニフィカス感染症
古城 八寿子
1
1前熊本中央病院皮膚科
pp.39-42
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101711
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ビブリオ・バルニフィカス感染症は,夏に見られる劇症型軟部組織感染症で,肝硬変や糖尿病・免疫不全の患者らに日和見感染する.生の魚介類の経口摂取や汽水中で創部から感染し,敗血症性ショックや壊死性筋膜炎などを発症し,70%が死亡するきわめて予後不良な疾患である.経口感染型は特に死亡率が高い.本邦では1978年以来200例以上報告されているが,海外と比べ,刺身などの食習慣から経口感染型が多い.発症後の経過は急激で,死亡例の半数以上が3日未満に亡くなっているため,診断を急ぎ,治療内容が予後を左右する1).
本邦では食品衛生法以外での届け出義務がないため,正確な発生状況は把握されていない.最も必要なことは発症の予防であり,ハイリスク者およびその家族に対し,夏季の魚介類生食や海水浴を避けるよう徹底して啓発することである.
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