特集 現代の保健所論・1
保健と福祉の統合―仙台市の場合森泉茂樹
森泉 茂樹
1
1仙台市若林区保健福祉センター所
pp.365-367
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100866
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時代は個人のニーズ,地域コミュニティの様態,組織形成など,あらゆる領域においてボーダーレス化している.保健と福祉の境界も流動化し,既存の枠組思考が通用しない時代になっている.それは行政の誘導のみによる人工的な流れでは決してなく,真の意味での多様性の時代を背景とした奔流であり,保健と福祉というそれぞれに歴史のあるアプローチも,その理念や方法論の違いを超えて,否応なく脱境界の波にさらされている.今この波に流されるのではなく,積極的にこれを受容し,変容していくことが,これからの保健所には必要なのではないか.
こうした流れの中,仙台市では平成8年に本庁での保健衛生部局と福祉部局との統合が行われ,併せて保健所と福祉事務所が組織統合され,保健福祉センターとなった.本稿では7年を経た仙台市における保健所と福祉事務所の統合の実態を検証,紹介しながら,その課題について考えたい.
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