海外事情
政策課題としての健康の公平―第3回国際健康公平学会に参加して
松田 亮三
1
1立命館大学産業社会学部人間福祉学科
pp.603-605
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100777
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10年以上に長引く不況の中で,90年代後半から社会・経済格差をめぐる議論が活発化してきています1).OECD諸国の中では中程度の所得格差である日本でも,経済格差の問題はより大きくなるとともに2),健康・医療にかかわる格差も,新たな公衆衛生の課題として浮上してきています3).
筆者は,健康の格差を主要なテーマとして国際的な学術の交流を行っている「国際健康公平学会」(International Society for Equity in Health: ISEqH)(日本語名は,筆者による仮訳)の第3回総会(2004年6月10~12日,南アフリカ共和国ダーバンにて開催)に参加しました.同総会への参加者は約200人と小規模でしたが,同総会についての情報は,日本の公衆衛生関係者にとっても重要と思われました.その理由は,アジア諸国・地域からの参加が多く見られ,2年後の総会の主催地としてソウルが検討されていること,また著名な研究者も多く参加していること,さらにWHO(世界保健機関)が創設に向けて準備を検討している「健康の公平」の委員会について,市民セクターとの公開コンサルテーションを行うなど,国際保健との関連でも重要な学会であること,などです.
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