特集 予防接種
予防接種の国際戦略
砂川 富正
1,2
1WHO流行及び汎流行警戒対応部
2国立感染症研究所感染症情報センター
pp.252-256
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100272
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急性あるいは慢性の感染症対策として予防接種(以下,ワクチンと総称)を用いた国際的な戦略に関する議論が活発である.急速に変化し,相互依存を強める世界にあって,WHO(世界保健機関)は公衆衛生施策としてさらに積極的なワクチンの役割を模索している.その理由としては,依然として,ワクチンによって予防しうる多くの感染症で,小児を中心とする多数の人々が死亡したり,重症に至ったりするなどの健康被害を生じている事実がある(表1)1).
本稿においては,WHO内の主なワクチン担当部署である,Global Immunization Vision and Strategy(GIVS:世界的なワクチン施策の展望および戦略)や,Expanded Program on Immunization(EPI:拡大予防接種計画)などにおいて検討されている,ワクチンの国際戦略に関する情報より紹介する.これらのチームの具体的で古典的な目標の1つは,ワクチン予防可能疾患から一段進めた,ワクチンを用いた世界からの根絶(あるいは排除)可能な疾患への対策であり,1977年10月26日のソマリアでの自然感染例を最後に地球上から根絶された天然痘に続き,ポリオ,麻疹などをその候補として対策が進められている.麻疹についてはやや詳しく触れながら,感受性者蓄積など,わが国に共通する課題などについても少し触れてみたい.
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