特集 健康危機管理
健康危機管理を視点に置いた保健所の組織構造と機能強化
②保健所の組織構造面からの検討
阿彦 忠之
1
1山形県村山保健所
pp.180-184
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100254
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厚生労働省主催の地域保健対策検討会(座長:林 謙治)は,平成17年5月に中間報告として,新興感染症や大規模食中毒,あるいは自然災害,生物テロなどの健康危機に際して「その初動を担うのは,医師,歯科医師,薬剤師,獣医師,保健師,管理栄養士などの専門技術職員が配置され,地域保健の第一線機関である保健所が最も適している」と総括している1).保健所の奮起を期待する意味合いがあるにしろ,現場にいる者から見れば嬉しい報告である.
しかしながら,平成6年の保健所法の廃止および地域保健法の施行という新しい改革の波に乗ろうとする時期に,地方分権の推進と行財政改革が津波のごとく押し寄せた結果,全国の保健所は想定以上のリストラを強いられ,その針路には暗雲が低く垂れこめている.人の生命の保護に関わる行政機関として,人員・組織体制が年々強化されている警察署や消防署とは対照的な扱いである.まさに「失われた10年」であり,「保健所の危機」と言ってもよい.自らの危機を脱するための切り札が「健康危機管理機能」というのも皮肉であるが,この機能を果たすための保健所の組織構造に関する現状と今後の課題について,関連の研究報告等を引用しながら前向きに検討してみたい.
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