連載 偶然、でくわす精神療法—「いつものケア」からこぼれる小さなセラピー・3
ほんで制度による精神療法って何なん?
橋本 和樹
1
1京都博愛会病院
pp.246-253
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134327610280030246
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しっくりこない翻訳
いきなり関西弁で申し訳ありません。今回は、「制度による精神療法」の大枠を皆さんにお伝えしなければならないということで、私も少し緊張しております。だから口調も「ですます」調です。制度による精神療法は、フランス語で「La psychothérapie institutionnelle」、舌を噛みそうなくらい長いので、略してP. I.です(こう書くと地動説のまんが『チ。』に倣って、『ピ。』とでも読みたくなります)。
和訳は直訳にもかかわらず、わかりにくいです。精神療法は、なんとなくイメージできますが「制度による」が全然わからない。もう少し直感的に理解できる日本語訳があったらいいんですが、P. I.の「institutionnel」というフランス語の修飾語の訳語として、しっくりくる日本語がなかなか思いつきませんので、ここはひとまず「せいど? しっくりこないな」という疑問をもったまま読み進めていただきたいです1。

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