症例ライブラリー 体幹の神経ブロックがうまくいかない
巻頭言
笹川 智貴
1
1東京女子医科大学 麻酔科学分野
pp.319
発行日 2026年4月1日
Published Date 2026/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360330040319
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- 文献概要
体幹の神経ブロックは,胸部・腹部手術の術後鎮痛において,脊髄幹麻酔の代替として普及してきた。2026年の米国麻酔科学会(ASA)の周術期疼痛管理ガイドラインでも,開胸・開腹・後腹膜・骨盤の手術や乳房手術を中心に,筋膜面ブロックを活用する流れが明確に示されており,その意義は高まっている。一方で,臨床では「期待したほど効かない」「創部は痛くないがドレーンが痛い」「カテーテル挿入がうまくいかない」といった声を聞く。こうした背景には,体幹部特有の複雑な疼痛機序,術式ごとに異なる解剖学的条件,単回投与の限界,さらに局所麻酔薬中毒や出血性合併症といった安全面の課題がかかわっている。本特集では,各領域のエキスパートが,日常診療で遭遇しやすい「うまくいかない症例」を通して,その原因と対処法を具体的に解説した。体幹のブロックをより確実に効かすには,手技だけでなく,痛みの発生源を見極め,時間経過や安全管理まで含めて鎮痛戦略を組み立てる視点が欠かせない。
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