Close-up 治療と仕事の両立支援
がんサバイバーにおける治療と仕事の両立支援と課題
原田 剛志
1
Tsuyoshi HARADA
1
1国立がん研究センター東病院リハビリテーション科
キーワード:
がんサバイバー
,
就労支援
,
financial toxicity
,
がんリハビリテーション
Keyword:
がんサバイバー
,
就労支援
,
financial toxicity
,
がんリハビリテーション
pp.711-715
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590060711
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国内外におけるがんサバイバーに対する就労支援の課題
がんサバイバーとは,がんと診断されてから生涯を終えるまでの生存者を指す広い用語であり,これにはがんを患いこれから治療を受ける方,治療中の方,治療後あるいは治癒後の方など,がんと診断されたすべての方が包含される1).
近年,治療成績の向上に伴ってがんと共存するサバイバーが増えているが,これらのがんサバイバーにおける治療と仕事の両立支援は,国際的な課題となっている.米国では,がんと診断された全患者のうち,20〜64歳の就労世代は約45%を占めており2),がん治療中・後の労働時間の短縮や転職,失業などが大きな問題となっている3〜5).また,本邦においては,がんと診断された患者全体のうち,20〜60歳台の就労世代は約33%であり,がんと診断を受けて退職または廃業した就労世代のがんサバイバーは全体の30%と報告されている6,7).さらに,がんと診断を受けて退職または廃業したがんサバイバーのうち,初回治療までに退職・廃業した人は56.8%と示されており,治療早期に仕事を失うがんサバイバーが非常に多い7).

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