書評
—田平 隆行,田中 寛之(編)—「—Evidence Basedで考える認知症リハビリテーション2—BPSDの評価と介入戦略[Web動画付]」
山田 実
1
1筑波大学
pp.329
発行日 2025年3月15日
Published Date 2025/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590030329
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認知症.世界随一の長寿大国であるわが国において,この対策は最重要課題の一つに位置づけられている.高齢者人口の増加に伴い,認知症を有する方は今後さらに増加することが予想されており,予防,治療,介護のそれぞれの領域で対策方法の模索が続いている.そのようななか「認知症と共生する社会」の実現が強調されるようになった.これに向けては,認知症を正しく理解することが不可欠であることはいうまでもない.そして,この理解を困難にさせているのがBPSDであろう.
医療・介護従事者は,BPSDを正しく理解できているのだろうか.BPSDの症状は多岐にわたり,個人や環境によってもその症状は大きく異なることから,その臨床像は複雑である.十分な臨床経験を有する従事者は,これまでの経験に基づき対応することは可能だろう.ただし,その経験に学術的知見が加われば,その対応の質をさらに高められるかもしれない.一方,そのような臨床経験がなければ,目の前で起こるさまざまな事象を客観的に受容することすら難しいかもしれない.こういった点で,本書は初学者から十分な経験を有する方まで,幅広い従事者が抱える課題の解決につながるバイブル的存在になる可能性を秘めている.

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