成人大腿骨近位部不顕性骨折のMRIによる検討

MRI Examination of a Proximal Femoral Occult Fracture in an Adult

成人に生じた大腿骨近位部骨折を疑うも初診時単純X線上ピストルグリップ変形を認めた症例のMRIによる検討を行ったので報告する．症例は42歳男性で，走った際に左股関節痛が出現し，保存的にみたものの痛みが軽快しないため受診した．単純X線・MRIで大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)に関連した骨挫傷の診断となり治療を行った．しかし，後日の単純X線で骨頭に骨硬化像を認めたため，骨挫傷から不顕性骨折の診断で治療を行った．左股関節痛は改善し，日常生活にも支障はなくなった．不顕性骨折と骨挫傷とのMRIによる早期鑑別診断は困難な場合があるため，両疾患を念頭におき治療を行うことが必要である．