書評
臨床医のためのライフハック—「診療・研究・教育」がガラッと変わる時間術—中島 啓 著
和足 孝之
1
1京大病院総合臨床教育・研修センター
pp.457
発行日 2026年4月15日
Published Date 2026/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810680040457
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一言で言えば,本書は臨床医人生における極上のチートコードである。著者である中島啓先生とは,かつて呼吸器疾患の企画で対談する機会があった。その際に強く印象に残ったのは,誠実さを基盤に,知性と実行力が無理なく同居する佇まいである。360°死角がない,さらには優秀であることを誇示しない優秀さ——その正体は何なのかと,当時は言語化できずにいたが,医師経験を積み重ねたなか,本書を読むことによってようやく腑に落ちた。この本は,指導医としてのhidden curriculumを,わかりやすい言葉と構造に落とし込んでいるのである。
本書を読み終えたとき,胸の奥に説明しがたい感情のざわめきが生じた。強い共感,驚き,そして強い羨望が混じり合った感覚と言ったらよいだろうか。自分がこれまで臨床・研究・教育の現場で,半ば経験則としてひっそり抱えてきた思考法や時間の使い方,キャリアの設計思想が,本書では驚くほど率直に,しかも惜しみなく提示されている。まるで,自分だけが長い間秘密にしていた地図を,誰かが高精細なカラー印刷で出版してしまったような,そんな感覚に近い。そのように「やられた!」と,感じる指導医も少なくないはずだ。

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