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English
特集 精神医療は何を目指すのか—アウトカムとエンドポイント
司法精神医学におけるアウトカムとエンドポイント
Outcomes and Endpoints in Forensicpsychiatry
安藤 久美子
1
Kumiko Ando
1
1東京科学大学保健管理センター
1Student Healthcare Center, Institute of Science Tokyo, Tokyo, Japan
キーワード:
司法精神医学
,
forensic psychiatry
,
精神保健福祉法
,
Mental Health and Welfare Law
,
医療観察法
,
Medical Treatment and Supervision Act
,
心神喪失
,
insanity
,
再犯
,
recidivism
Keyword:
司法精神医学
,
forensic psychiatry
,
精神保健福祉法
,
Mental Health and Welfare Law
,
医療観察法
,
Medical Treatment and Supervision Act
,
心神喪失
,
insanity
,
再犯
,
recidivism
pp.1043-1048
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670071043
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抄録
本稿では,司法と精神医学の接点として精神保健福祉法,刑法,医療観察法の3つの法律を例に挙げ,それぞれの法が目指すアウトカムとエンドポイントについて概観した。いずれの法律も安定した社会生活や再犯/再他害行為の予防を目標としているという点で共通しているが,それをはかる指標はきわめて多元的である。また,医学的治療から回復,社会復帰につながっていくプロセスのどの地点にいるのかによっても医療的視点と法的視点のいずれに比重を置くべきかというバランスが大きく異なってくるため,時に難しい判断が求められることもある。
こうして振り返ると,「司法精神医学」は法律や医学を基盤としながらも,その究極的な基準は社会側にあるとも言え,最終的なアウトカムにはもはや精神の障害の有無は関係なく,人間としての生き方が求められていることを示した。

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