書評
心理社会的プログラムガイドブック—池淵 恵美 著
岩根 達郎
1
1京都府立洛南病院リハビリテーションセンター
pp.945
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670060945
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私は当事者のより良いウェルビーイングに向けて,心理社会的プログラムを生業にしている。どうすればより良い実践となるだろうかと,心理社会的プログラムを実施する中で日々迷い,悩み,模索し,ブラッシュアップを繰り返している。それは臨床家として実践し始めたときからずっと続いている。多くの実践者の皆さんも同様であろうと思う。駆け出しのころには,どのようなプログラムがあるのかわからず,伝統的なプログラムや,先輩が実施しているものを踏襲していた時期もあった。プログラムの目的というよりは,プログラムをすること自体が目的になっていた時期もあったかもしれない。当事者の皆さんや,一緒に実施したスタッフと多くの時間を過ごし,多くのことを学ばせていただいた。多分にご迷惑もおかけしたし,間違ったプログラムも実施したこともあっただろう。本書を拝読する中で,たくさんの経験を思い出させていただいた。
精神科臨床,あるいは福祉事業所など,多くの場所で心理社会的プログラムが実施されており,多くの実施者がいる。そして,多くの当事者がその恩恵を受けているはずである。おそらく数千から数万人の実施者がいて,当事者はその何倍もの人数であろう。参加する当事者個人にとって,その人生がより良いものとなるよう,あるいはその効果が最大化されるためには,どのような実践が良いのだろうか。本書は心理社会的プログラムについて丁寧に整理されており,そのことについて考える機会を与えてくれる。

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