今月の特集1 脂質異常症の遺伝背景
扉
山田 俊幸
1
1群馬パース大学医療技術学部検査技術学科
pp.825
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200690080825
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
コレステロールや中性脂肪が高いことを議論する際に,生活習慣とともに体質,つまり遺伝素因がしばしば注目されます.代表的な遺伝素因であるLDLコレステロールの処理が障害される家族性高コレステロール血症の原因と機序が理解されて約50年が経過しました.その後現在まで,さまざまなリポタンパク構成物質,脂質代謝関連分子の遺伝子異常・変異による脂質代謝異常症が見いだされてきました.今回は,まず脂質異常症の診療における遺伝背景の考え方と,遺伝性の脂質代謝異常症をきたす関連分子の異常を総論的に解説いただきました.次に,代表的な異常として,LDL受容体,PSCK9,apoE,CETPの遺伝子異常・変異とそれぞれがきたす病態につき,最新の考え方を解説いただきました.頻繁に出会う脂質データ異常という事象の背景について理解を深めていただけたら幸いです.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.