今月の特集 出血と凝固異常
扉
涌井 昌俊
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1慶應義塾大学医学部臨床検査医学
pp.121
発行日 2025年2月15日
Published Date 2025/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200690020121
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凝固異常が病的出血の原因の1つであることは教科書的事実ですが,その診断は必ずしも容易ではありません.原因が特定できない凝固検査異常に遭遇することに加えて,APTTやPTといった凝固時間が正常または軽度延長するだけの凝固異常症が存在します.最近では,特記するべき既往歴がないにもかかわらず外傷・分娩・手術に伴う重篤な出血をきたす事例の存在に注目が集まっています.凝固因子活性値に基づいて軽症と診断される血友病の場合,日常での病的出血は軽度または欠けておりAPTTも正常またはごく軽度の延長のため,診断が逃されたままそのような事態に至ってしまう可能性があり,イベントを未然に防ぐためにも的確なアプローチが求められています.
本特集では「出血と凝固異常」というテーマの下で,第一線で活躍されている方々に解説いただきました.凝固検査に関する再考と凝固異常症の病態に対する理解の一助となれば幸いです.
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