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特集 脳とAI—脳科学と人工知能研究の未来
予測符号化の立場からみたPhysical AIの将来
The future of Physical AI from the perspective of predictive coding
尾形 哲也
1
Ogata Tetsuya
1
1早稲田大学理工学術院
キーワード:
Physical AI
,
予測符号化
,
AIREC
Keyword:
Physical AI
,
予測符号化
,
AIREC
pp.18-22
発行日 2026年2月15日
Published Date 2026/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310770010018
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近年人工知能(artificial intelligence;AI)の急速な発展は,言語処理や画像認識といった情報空間の課題において目覚ましい成果を上げている。しかし,われわれの日常生活を支える現実世界での“行為”を伴う知能,すなわち“Physical AI”の実現は,長年の難問として立ちはだかってきた。この困難さは,かつてAI研究者のHans Moravecが提唱した“モラベックのパラドックス1)”として知られ,大人には難しいとされる記号操作よりも,子どもでも容易な運動や感覚統合のほうが機械にとってはるかに困難である,という問題である。
そして,現在のPhysical AIは,従来の“ロボット(などの身体)にAIを搭載する”という方向性ではなく,“AIに身体を与える”という逆の方向性であることに注意を向ける必要がある。そしてこの視点の変化は,その方向性を相互の作用に変化させていくと考えられる。それは,身体-環境-神経系のカップリングを知識や知能の源泉と捉える構成論的アプローチへとつながるであろう。本稿では,このPhysical AIの発展の現状を概観し,その動作原理の根源的な理論的基盤として,予測符号化(predictive coding)および能動的推論(active inference)2)が持つ可能性を論じ,未来の身体知能の展望について考察する。

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