Japanese
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特集 AIにより加速する生体分子デザイン
Ⅲ.機能性タンパク質分子デザイン
新奇膜輸送タンパク質のde novoデザイン
Emerging approaches for the de novo design of membrane transport proteins
新津 藍
1
Niitsu Ai
1
1理化学研究所生命機能科学研究センター
キーワード:
膜タンパク質デザイン
,
膜輸送体
,
合成生物学
,
ペプチド化学
Keyword:
膜タンパク質デザイン
,
膜輸送体
,
合成生物学
,
ペプチド化学
pp.141-146
発行日 2025年4月15日
Published Date 2025/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310760020141
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細胞を構成する生体膜には,膜内外の物質輸送,情報伝達を担う多数の膜タンパク質が集合している。なかでもイオンチャネル,トランスポーター,ナノポアのような膜輸送タンパク質は,イオンや分子を透過させる機能により細胞内情報伝達や代謝の要となっている。近年の構造生物学的手法の発展に伴って,これまで非常に挑戦的だったこれらの膜タンパク質の高分解能構造の解明が進み,構造と機能の関わりへの理解に貢献してきた。一方で,プロテインデータバンク(PDB)に登録されている膜タンパク質の数は2024年12月現在で1,742個(mpstrucデータベースhttps://blanco.biomol.uci.edu/mpstruc/におけるunique proteins数による)であり,依然水溶性タンパク質の7分の1程度にとどまっている。そこで近年,ボトムアップにタンパク質機能の理解に迫る方法として生体分子デザインが浸透しつつある。特にゼロからミニマルなタンパク質をde novoデザインし,実験によりその構造と機能を分析するアプローチ1)は,膜タンパク質においても水溶性タンパク質に比べると非常にゆっくりとではあるが取り組みが進んでいる。
そこで本稿では,膜輸送タンパク質のde novoデザインに焦点を当て,これまでに開拓されたデザイン手法を振り返りながら,日進月歩で開発されているAIツールがどのように膜タンパク質デザインにも活用可能となるか,その展望について議論したい。

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