臨床医からの質問に答える
FilmArray®はなぜ多数の病原体を検査することができるのですか?
荻原 真二
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1東邦大学医療センター大森病院臨床検査部
pp.1296-1298
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110530121296
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はじめに
新型コロナウイルス感染症の流行を契機に,多くの医療機関で遺伝子検査装置の導入が進んだ.PCR法を用いた遺伝子検査は高感度・高特異度な検出が可能であり,微生物検査の分野でも重要性を増している.そのなかで,ビオメリュー・ジャパン社が販売しているFilmArray®は,多数の病原体を同時に検出できるシステムとして注目されている.
FilmArray®は,PCRとmultiplex-PCR,nested-PCR,およびインターカレーター法による解離融解曲線を組み合わせることで,一度に複数の病原体や耐性遺伝子を検出できる特徴をもつ.
通常,リアルタイムPCRは,1PCR反応で約4遺伝子の測定が限界である.これは検出できる蛍光色に関連する.しかし,FilmArray®は30遺伝子以上を検出して,多種の病原体,耐性遺伝子を一度で検出することができる.そこで“なぜ他のPCR法と比較してより多くの病原体を検査できるのか?”,また“なぜCt(cycle threshold)値が出ないのか?”といった疑問をもつ臨床検査技師も少なくない.
本稿では,FilmArray®の原理から疑問を分かりやすく解説していく.

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