書評
—国立がん研究センター中央病院造血幹細胞移植科 編 福田 隆浩 執筆—造血細胞移植ポケットマニュアル 第2版
豊嶋 崇徳
1
1北海道大学・血液内科学
pp.830
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990620060830
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造血細胞移植は白血病など血液がんや難治性血液疾患に対する根治を目指した強力な治療法です.その反面,移植を受ける患者さんの病状や社会的状況は多種多様であり,個々の患者さんごとに最適な移植方法や管理方法を選択する必要があります.また,強力な治療であるがゆえに合併症も多彩で全臓器に及び,全身管理の高度な知識と経験が必須です.特に細々した部分ではエビデンスに乏しく,経験に基づいた「さじ加減」が移植成績を左右することになります.
初版が世に出たのは2018年です.白衣のポケットに入るサイズでありながら500ページに及び,移植の準備から,入院後,退院後のフォローに至るまで,ほぼすべてが詳細に網羅され,日本中の移植病院の現場で愛用されました.それから6年が経過し,移植適応,移植方法も大きく変化し,新たな薬剤も多数発売されました.そして今回,待ち望まれた「第2版」が刊行されました.新たに追補編として,同種移植後の時期別注意点,CAR-T療法が取り上げられ,一気に680ページへとボリュームアップしました.その結果,造血細胞移植の基礎知識から移植前後の時期別に役立つ細かな注意点まで網羅され,医師のみならず,看護師,移植コーディネーター(HCTC),薬剤師,栄養管理師,リハビリスタッフなど,多職種の座右の書として必携の一冊となっています.

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