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書評 造血幹細胞移植ポケットマニュアル
豊嶋 崇徳
1
1北大・血液内科学
pp.1025
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201720
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造血幹細胞移植医療の全てがまとまった実用的な一冊
本書は,わが国の造血幹細胞移植医療をリードする国立がん研究センター中央病院の福田隆浩科長が,移植チームメンバーの協力を得て執筆した実践的なポケット版マニュアルです.造血幹細胞移植医療は他の医療と比べ患者の個別性が高く,また準備から外来フォローまで長期間にわたり,その間さまざまな職種がかかわる,極めて複雑で高度な医療です.そのため,一つの問題を解決するために,さまざまなWebや成書に当たる必要があります.移植の合併症が全身的であり,かつ多岐にわたるのがその理由の一つです.
本書の特徴は,造血幹細胞移植医療の全てがこの一冊に盛り込まれている点にあります.例えば,移植後の高血圧に対して推奨される降圧剤が具体的に用量まで記載されています.つまり,エビデンスがあっても,実際にはどう対応すればいいのか迷う点にまで踏み込んで記載されています.また編成も移植の準備から,入院,外来フォローと経時的な流れになっており,移植にかかわるさまざまな職種の方が各職種の関与する項目の箇所を調べやすいように工夫されています.また,移植を依頼する立場の血液内科医にとっても移植適応,患者さんへの説明,また移植後のフォローと,座右にあって役立つ書となっています.このように対象とする読者が移植医のみならず,さまざまな医療スタッフ,コメディカル,一般血液内科医と多岐にわたるのも本書の特徴です.
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